ここ最近、何かと話題となる「量子」。
量子というのは、コンピューターであったり、最先端技術の世界には無くてはならないものになります。
しかしながら、依然として、分からない事が非常に多くて、謎に包まれた世界になります。
そういうわけで、本日は、量子についての考え方を表した「量子論」と、量子論を実験で示した「2重スリット実験」を通して、量子の謎について紹介したいと思います。
量子論は「ミクロの世界における物質観」
2重スリット実験というのを紹介する前に、まずは、量子論というのは、果してどういったものであるのか、すぐに説明しておくことにしましょう。
量子というのは、ミクロの世界の物質のことです。
原始やそれより、輪をかけて小さい、電子に関しても、ミクロの世界の物質になります。
そのようなミクロの世界というのは、私たちが常日頃より見ている「マクロの世界」の物質の常識が、全然通用しない性質を持っているのです。
その奇妙な性格をまとめたものが量子論になります。
この量子論を一番最初に作ったとされるのは、20世紀を代表する物理学者ニールス・ボーア氏になります。
ボーア氏については、量子論を構築した功績を称賛され、ノーベル物理学賞も受賞しているのです。
「でも量子論というのは、一体、何に使われているの?」と考えた人もいるかもしれませんね。
量子論というのは、コンピューターであったり、概していえば、ハイテク分野においては、なくてはならないものになります。
電子が波とされる証拠を掴んだ「2重スリット実験」
ボーア氏については、「電子といったミクロの物質というのは、粒子となっており波である」と考えたのです。
ですが、現実の上で、波の状態の電子を見た人は存在しません。
波とされる電子を見ようとすれば、波は消失してしまいます。
でも、電子を波と考える事で、現在まで説明がつかなかった物理学の現象を説明できるというわけです。
ですので、ボーア氏ら沢山の専門家が「電子は見ていない時は波になって、見ている時は粒子になってしまうのでは?」と考えたのです。
「見た事もないにも関わらず、なぜ電子は波と言えるの?」
「見ようとしたら見えなくなるなんて、本当にあるの?」と、専門家の内でも、意見が割れたとのことです。
そういうわけで、電子が波である事を、目で見て確認する「2重スリット実験」が行われたのです。
二重スリット実験の方法
それでは、2重スリット実験の方法を紹介していきます。
電子ビームを撃ち込む電子銃を、蛍光物質がぬり込んであるスクリーンに向けます。
電子がスクリーンに当たると、蛍光塗料によって、当った場所が光る仕組みになります。
電子銃とスクリーンの間については、2つのスリットをあけた板を置きます。
このまま、電子銃から電子ビームを撃ち込むというわけです。
発射される電子の数が少ない状態では、スクリーンには、ぼつぼつと疎らな光の点が残っていたとのことです。
ですが、電子を続けて発射すると、着実にクリアーに干渉縞が出現するようになりました。
干渉縞の明るいところは、多くの電子がその場所に当った事を表わし、暗いところは電子がそこのところに当たらなかった事を意味するのです。
こうような、干渉縞が生じる原因として、電子銃から飛び出た電子が、波みたいに2つのスリットを通ってスクリーンに当たった事が考えれるのです。
例えば、電子がビービー弾かのような、小さな粒状であったとしたら、スクリーンに描き出される模様については、ふたつの細長い光の帯のみになるでしょう。
ですが、この実験のみでは、「電子は一つでは波の性質を持っていないが、一定レベルの数が結集した時に波の性質を持つ」とされる結論も可能となります。
そこで行われたというのが、同じ装置を使って、一回に一つの電子だけを発射する実験だったのです。
この実験の結果については、最初の実験と一緒ものになりました。
要するに、一つの電子のみでも、波の性質を持つ事が明らかになったのです。
ファインマンによる2重スリットの思考実験
前述の実験結果によりますと、電子というのは、1個でも波の性質を有し、一つの電子が2つのスリットを同時に通り過ぎたということなのです。
けれども、どういうわけかピンとこないですよね。
そういう訳で「ファインマン」の実験を紹介しようと思います。
ですが、ファインマンが行なったのは、実際の実験じゃなく、頭の中でイメージした「思考実験」になります。
量子の世界においては、実際の実験が出来ない事も多く、このような実験を「思考実験」として行うのです。
ファインマンがイメージした、思考実験というのは、次に挙げるようなものになります。
2重スリット実験に関しては、電子が、どのスリットを通り過ぎたのか測定するために、スリット板の直ぐ裏に観測機の取り付けを行います。
この観測機については、光を出していて、電子が通り過ぎると電子と光がぶち当たり、散乱することから、電子の位置を把握することが出来るのです。
ファインマンはこの実験の結果として、「電子というのは、いずれか一方のスリットしか通過しない」と結論を出しました。
それについては、一体全体、どのようなことなのでしょうか?
それは観測器などによって、電子そのものの動きを乱してしまうからです。
要するに、電子自体を「観測する」とされる行為そのものが、電子の動きを阻害してしまいますから、実験で確認することなどできないということになります。
このことは目で見る時も、同じです。
目で見ようとするためには、光がないとできません。
ですがこの光そのものが、電子に影響をもたらしてしまうかもしれないのです。
要するに、2重スリット実験においての干渉縞を見て、「電子は見ていない時には、両方のスリットを同時に通っているのでしょう」と想像するぐらいしかありません。
決着がつかない観測問題
量子論において、議論が分断される「観測問題」。
これに伴い、この観測問題においては、かなりの解釈が存在します。
現在のところ、主流であるのが、電子は私たちに見られると姿を変えるといった「コペンハーゲン解釈」と言います。
なお、コペンハーゲン解釈であれば、電子が見い出される場所というのは、確率で決まっているといったルールもセットにされているのです。
ですがこの「確率」とされる解釈を、まったく容認できない物理学者も少なくありません。
そういうわけで、出てきたもう一つの解釈というのが、「エベレット解釈」になります。
これはパラレルワールドが考えの要因となっているのです。
この解釈においては、「波の状態で観測される電子」と「粒の状態で観測される電子」は、違う世界に存在していて、私たちが存在する世界によって、電子の観測結果が異なっているのだという事になるのです。
さすがに、この解釈を容認している専門家は多くはありませんが、コペンハーゲン解釈が「絶対正しい」と証明されてないのと一緒で、エベレット解釈が「絶対に間違っている」とされる証明もされていないのです。
量子論というのは、現在も、はっきり分かっていない事が多く、解釈問題に関しても、正解は見つかっていないです。
そういうことから、量子論というのは、多くの専門家を引き寄せるのではないでしょうか。
量子論を際立って理解されている物理学者の一人、ファインマンであっても「量子論を本当に理解している人というのは一人もいない」と言っているのだそうです。
ですが量子論が発展すると、宇宙の謎等、現在に至るまで、分からなかった事が、分かるようになるかも知れません。
未来に向けた発展が楽しみですよね。