近ごろ、環境破壊に関して、訴えるスウェーデンの少女、グレタさんが話題です。
グレタさんについては、地球温暖化の悪化となってしまうCO2は、出さないように努めるべきだと訴えているのです。
そのうえで、CO2を出す諸悪の根元の一つとして、飛行機を挙げているのです。
グレタさんの主張につきましては、賛否両論ありますが、CO2の排出をなるべく減らした方が良い事は、私を含め誰もがみんな分かっていることではないでしょうか。
実のところ、日本で飛行機のCO2をかなり削減する事ができるすごい繊維が作られたというのです。
その名は「SiC繊維」です。
本日はこの繊維のすごさを紹介したいと思います。
目次
新素材「SiC繊維」については日本が開発!
ここ最近、日本に外国人の姿を目にすることが多くなったのではないでしょうか?
近ごろ、世界のグローバル化が話題になっていますが、その影響であるのかもしれないですね。
そして、グローバル化社会になくてはならないものが、飛行機になります。
その証拠に、このごろ飛行機に乗る人だけじゃなく、貨物運搬の数が、急激に増加しているそうです。
20年後には、飛行機の機体数も輸送量も、現時点の2倍以上になってしまうと予想されているのです。
現在でも、すごく多いと感じるのですが、その2倍とは、ものすごいですよね。
ですので、問題となるというのがCO2の排出になります。
将来的に、機体数が2倍ともなれば、シンプルに考えるとCO2の排出量も2倍に到達するということになるのです。
CO2の排出量を軽減するために考えられる対策としては、エンジンの性能を上昇させて燃焼効率をアップすることがあります。
ですが、現在でのエンジンに使わている素材であれば、もはや限界なのだそうです。
そういうわけで、注目を集めたのが、セラミックス複合材料と言われるものになります。
これはセラミックスとその繊維を結合させて作ったものとなります。
セラミックスにおいては、熱に強く軽いとされるメリットがあるその一方で、脆い(もろい)とされる欠点もあるのです。
その欠点を補うというのが、SiC繊維になります。
SiC繊維というのは、日本においては、炭化ケイ素繊維と言われているのです。
その名前が示す通り、ケイ素(Si)と炭素(C)を結びあわせた化合物を繊維状にしたものになります。
これを開発したというのは、驚くことに、日本なのだそうです。
SiC繊維というのは、1975年に東北大学で最初に開発されたのです。
ですが実用化することは、困難であると考えられていました。
そうした中、この繊維の実用化にこぎつけたというのが、日本の企業「日本カーボン」なのです。
実用化までは、いずれにせよ苦難の連続だったそうです。
ですが、「何とかしてこの新素材を世界に届けて、その可能性を広めたい」とされる熱い思いから、試行錯誤し続けたとのことです。
そうして苦労の甲斐あって、SiC繊維というのは、現在、CO2対策等、航空業界の未来を大きく変える、起爆剤になろうとしているのです。
それでは、SiC繊維のどこがそれほどまですごいというのでしょうか?
そのすごさを、みていきたいと思います。
SiC繊維のメリット①:『高い強度』
SiC繊維のスゴイ部分としまして、さしあたって、挙げられるのが、強度の高さになります。
現在では、航空機のエンジンのほとんどにニッケル合金が取り扱われているのです。
そのニッケル合金に比べると2倍も強度があるんだそうです。
ですが、炭素繊維そのものの強度に優れている事は、公然の事実で、実際、これまでも、飛行機の機体箇所には炭素繊維が使われていたのです。
それを使えるようにした部分が、SiC繊維のすごいところだということです。
これは一体、どういう事なのでしょうか?
SiC繊維のメリット②:『耐熱温度』
実のところ、一般的な炭素繊維においては、強度については、抜群であるとは言え、熱に弱いとされる欠点があるのです。
そういうわけで、飛行機のエンジン箇所には、使う事が不可能だったのです。
前文で飛行機のエンジンにおいては、ニッケル合金が使用されている言いましたが、ニッケル合金の耐熱温度については1200度弱くらいになります。
ですが、飛行機のエンジンについては、驚くことに、1300度にもなるとのことで、ニッケル合金を使用しても、エンジンを空冷することが大前提となります。
しかしながら、SiC繊維の耐熱温度については、驚いてしまいますが、1800度から2000度にもなるとのことで、これだったら、エンジンを冷却する必要はなくなるのです。
このことから、取り入れた空気を推進力とし利用できることになり、飛行機に関しては、格段と効率よく飛べるようになると考えられます。
エンジンの性能を、現時点よりも高め、燃料効率を上昇させられるかもしれないのです。
このことは、実際、アメリカとフランスの企業が合同で開発した航空エンジン「LEAP」でも実証済みになります。
LEAPについては、今までのエンジンと比べて低燃費で、さらに騒音も抑制されるとのことです。
この高水準のエンジンを現実化したのが、SiC繊維だったのです。
SiC繊維のメリット③:『軽い』
SiC繊維というのは、その軽さも魅力になります。
ニッケル合金と比較すると、重さについては約1/3くらいしかないのだそうです。
これだったら、エンジンを軽量化することができるので、運転効率をもっと上昇させられそうですね。
SiC繊維は日本じゃなければ作れない!?
実のところ、このSiC繊維、実用化に成功したというのは、世界中で日本カーボンと宇部興産の2社のみとなります。
驚くことに、日本でしか、作ることができない繊維ということになります。
アメリカの企業「ダウケミカル」と「コーニング」も実用化を検討していたとのことですが、合間に断念してしまったのです。
だれだけ、実用化に至るまでのいきさつが、険しいものであったのかが、分かりますよね。
現在では、宇部興産においては、SiC繊維を「チラノ繊維」とされる商標で売り出していて、F1自動車であったりスポーツ用品等に主にに採用されているとのことです。
一方で、日本カーボンについては「ニカロン」といったネーミングでSiC繊維を売り出していて、ついさっき紹介させて頂きました「LEAP」の素材に採用されていまして、航空機分野で主体とし、注目を集めているのです。
将来的に、航空機とは別の分野でも、この素材の重要度は増えると考えられていて、世界から、すごく注目されているとのことです。
SiC繊維の今後は!?
ですが、その一方で、この素材を使った商品開発であれば、日本については遅れをとっているとされる辛い現実もあるそうです。
現実の上で、一番最初にSiC繊維の実用化が実現した日本カーボンについては、実用化当初、この繊維を使用する企業が出現せず、すごく苦労したとのことです。
そのような中で、いの一番で、この繊維のすごさに興味を持ったのが、前文のアメリカとフランスの企業だったということなのです。
考えてみれば、SiC繊維においては、費用がすごく掛かるというデメリットがあります。
ごく一般的な炭素繊維の100倍も費用が掛かると言うのですから、驚きですよね。
ですが、それを補って余りあるメリットがSiC繊維においては、あるので、飛行機のCO2の問題については、どうにかして解決しなければいけないものなのです。
そして、今後より一層需要が拡大していけば、費用もコンスタントに安くなってくると思われます。
日本企業の弱点の一つに、素材の開発においては強いにも関わらず、それを活用して利益を生み出せない事が挙げられると言うのです。
一方、アメリカについては、世界中から優秀な素材を集め、商品化して利益を生み出すことに長けているとのことです。
こういう問題をなくそうと、2017年経済産業省の協力によって、東京工科大学に「CMCセンター」というのが設置されたのです。
これはSiC繊維の実用化のため、産官学が支援して、製品の研究開発に取り組もうという試みになります。
3者がタッグを組むことによって、製品の研究開発が一層、スムーズに行なわれると期待されているのです。
日本が実用化した素材なので、製品の開発も日本に先導してもらいたいですよね。
この取り組みを、注視していくことにしましょう。
SiC繊維については、航空行業界だけじゃなく、いろいろな分野から意識を向けられる期待の素材になります。
そういう素材を日本が開発し、さらには、日本の技術がないと作ることが不可能なんて胸を張れる気分になれますね。
この素材については、航空機で実績が上昇したら、火力発電所のタービンに向けての採用も考えられているとのことで、なおのこと需要が高まると考えられます。
将来において、日本でもSiC繊維を使った製品の開発が進む事を期待したいですね。