宇宙というのは「ビッグバン」より誕生したとされる説については、宇宙誕生にまつわるいろんな説がある中より一番濃厚だと考えられているのです。
ですが、このビッグバン理論でも解決不可能な疑問が存在します。
まさにそれが「どういうわけで宇宙というのは誕生したのだろうか」とされる謎なのです。
要するに「宇宙は神様が作りあげた」としか言いようがないんでしょうか?
されど、そんな疑問に向き合った一人の物理学者がいたのです。
ウクライナ出身のビレンキンとされる物理学者になります。
ビレンキンが唱えた仮設というのは、果してどんなものだったのでしょうか?
本日は、宇宙は無から有の如く誕生したをテーマを紹介させて頂きたいと思います。
「ビレンキン仮設」というのは?
ビッグバン理論というのは、一般相対性理論とハッブルが元となる、宇宙は膨張しているというような観測事実、宇宙背景放射の観測事実というものをベースとして裏付けられた理論になります。
ですが、このビッグバン理論が宇宙の謎を100%、解き明かしたということではありません。
ビッグバン理論では宇宙というのは、火の玉からスタートしたとしているのですが、この火の玉がどこから誕生したのかということを説明していないといえます。
しかし、1983年、ウクライナの物理学者ビレンキンが「宇宙というのは、物質も空間も時間もない、無の状態から誕生した。」とされる「ビレンキン仮設」を発表したのです。
更に同時期、車椅子の物理学者として知られるホーキング氏が、「無から宇宙が誕生した際、宇宙は虚数の時間を通過してきた」とされる「無境界仮設」を発表したのです。
この2つの理論に関しては、いずれも、宇宙は全くの無から誕生した事を示されています。
無から有がもたらされるというようなことは存在するのでしょうか?
また、ホーキング氏が指摘する「虚数の時間」というのは、一体、何のことなのでしょうか?
無の状態というのは?
「無」ということになりますと、100パーセント皆無を想像するはずですが、実のところ、量子論の世界においては「無」とされる概念はあり得ません。
物理学的に「100パーセント何もない」状態はあるはずがないとしています。
「どのようなことなのか全然わからない」と考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
仮に真空中に関しては「何も存在しない」と考えられるようですが、現実的には、電子と陽電子が瞬間的に打消合ってることから「何も存在しない」かのように見えるだけだと言えます。
量子論であれば「全く無」かのような空間においても、共通した事が起きているのではないでしょうか。
そんなふうに考えることで、それ相応のタイミングで、無から有が誕生する事は想像できなくはないと思われます。
トンネル効果
ビレンキンは自分自身の説を量子論の無の概念は勿論の事、「トンネル効果」といったもので説明しているのです。
トンネル効果もいずれにしても、量子論において発見されたものになります。
トンネル効果というのは、よりシンプルに言うと、ミクロの世界ではエネルギーが揺れているので、本来のエネルギーにおいては、あり得ない事が起こり得るというものです。
あり得ない事というのは、例をあげると壁に向けて投げたボールが壁を通り抜けるというようなことです。
無論のこと現実的に壁をホールが通り抜ける事というのはあり得ませんが、素粒子レベルの世界においては、このような現象が起きるとされるいるのです。
ビレンキンは宇宙もこのようなトンネル効果によって、無の状態から誕生したと説明したのです。
宇宙は虚数時間によって生まれた?
それに対し、ホーキング氏については、宇宙というのは虚数時間によって誕生したと論じているのです。
この虚数の時間というのは、元々、トンネル効果がもたらされる確率を計算するのに扱われていたものになります。
ですがホーキング氏はこれを、宇宙の始まりにおいても当てはめてみたのです。
ちなみに、虚数というのは、2乗したら、マイナスになる数字ということです。
当然、現実的にはこういった数字は有り得ません。
されど、ホーキング氏については、現実の上で虚数の時間は存在するとしているのです。
そして虚数の時間の無のゆらぎにおいて、宇宙の種と考えられるものが作られ、トンネル効果により実数の時間になった時点で、宇宙というのは、いくらかの大きさとされて誕生した。としているのです。
虚数の時間について関心がある方については、詳細に書かれている解説書が数多く出ているのでご覧になってみてください。
無であったという根拠は?
ビレンキン氏もホーキング氏も、宇宙は無から誕生したとしていますけれど、だとすれば、「無」とされていたとされる根拠というのは存在するのでしょうか?
このことは「そんなふうに考えなければ辻褄が合わないから」ということなのです。
ビッグバン理論というのは、観測したことによって根拠を重ねる事が出来ましたが、ビッグバンより前のことに関して、現在のところ観測においての根拠を得ることは不可能なため、ビレンキン氏の説もホーキング氏の説も推論の域を出ることはできません。
わかりやすく説明すると、異なる説が誕生してその説が「宇宙が無じゃなくても辻褄が合う」ものだったとするなら、「実のところ宇宙が誕生する前は無じゃなかった」となってしまうこともあり得るということです。
そのため、宇宙の実際的な始まりというのは、依然としてよく分かっていなくて、無だったとされる根拠も無いのと同じという事なのかもしれないのです。
宇宙というのは、130億年以上前に誕生したとなっていますが、原則的には宇宙の年齢というのは明確には、はっきりとしていません。
宇宙はいつどんなふうにして始まったのだろうか気になってしまいますが、最終的には「神のみぞ知る」という事なのかもしれないのです。
ビレンキン氏やホーキング氏の説が解き明かされる日は来るのでしょうか?
あるいは、これまで以上に間違いのない説が誕生することがあるというのでしょうか?
宇宙誕生というのは、推察する他はありませんが、それゆえに私たちの興味は果てしないのではないでしょうか。