熟年離婚は『貧乏』にまっしぐら・・。

熟年離婚

ここ最近「熟年離婚」といった言葉を聞く事が多くなってきました。

世間の倫理観も変わってしまって、離婚するというのは、そんなに悪い事でもないという意識が普通になって、子どもが親離れしたその後は、有意義な人生を送りたいとし離婚をする夫婦がいるのです。

専業主婦の場合でも、年金を分割して貰う事で、生活については何とかできる、と考える人がいるとすれば、それは少し危険なのではないでしょうか。

確かに、公的年金分割ができますが、そうすることで、将来の生活ができるできないかは、すごく微妙なのです。

妻に年金を分割する事となる夫に対してのダメージも大きく、熟年離婚で両方共に貧乏まっしぐらとなるかもしれないのです。

このことは、子どもからしても無関係じゃないのです。

ということで、年金分割の知られざる部分を紹介させて頂きます。
 

年金を分割されても「老後は安泰」とはいえない

 
30代のTさん(女性)については、近頃、母親から「お父さんが退職したら離婚したい」と告白されたのです。

もうすぐ、定年となる父親と専業主婦の母親については、現在2人暮らししています。

母親は、「年金も分割してもらうことができるので、お金は何とかなるのではないか」と言っているとのことです。

「果たして、確実に大丈夫なんだろうか」とTさんは気にかけています。

というのも、母親が生活に苦しむみたいなことになってしまえば、Tさんの人生設計にも影響が及びかねないのです。

公的年金では「年金分割」とされる制度があって、離婚すると、夫婦の年金を夫、妻一人一人が分割してもらう事ができるのです。

年金分割の制度ができた時は、「このお陰で、なにひとつためらわずに離婚ができる!」と、制度がスタートする事を待ちかまえる「離婚予備軍」が数多く現れました。

ですが、現実的にはそれほど甘くはないといえます。

共働きで自身でもドッサリ資産を蓄えてきたとしたら、良いのですが、妻が専業主婦で離婚した場合では、妻だけじゃなく、夫であっても、「離婚貧乏」になってしまう可能性が高いのです。

言うまでもなく、分割できる年金というのは「厚生年金」しかありません。

例えば、会社員であった夫が将来、受け取れる年金が1ヶ月に20万円だったとしても、そこに含んでいる国民年金のところは差し引かれることになってしまいます。

20万円そのものを分割するということではありません。

それだけでなく、分割されるというのは、基本的に「婚姻期間中の記録」に対応する箇所のみです。

「夫が30歳の時に結婚して、55歳で離婚」という場合では、30~55歳についての25年の間に支払った保険料から受け取れる厚生年金のみが対象になります。

結婚前、離婚後に保険料を納めた分というのは、分割の対象ではないでしょう。

年金の分割というのは、「婚姻期間中に支払った厚生年金の保険料の分を夫婦で分割する」というのが、正解となります。

分割する割合については、最大2分の1に至るまでの範囲となり、夫婦の話し合いから決めていきます(合意できなければ、家庭裁判所へ審判あるいは調停の申し立てをする事となる)。

ですが、妻が専業主婦(第3号被保険者)の場合では、2008年4月1日以降の記録分というのは、合意なく分割可能で、割合については、一律的に2分の1となっています。

夫からみたら、有無を言わさず半分をもっていかれる、ということなのです。

なお、自営業者等、国民年金のみしか加入していない人であれば、年金分割はないのです。

また、共働きの場合では、婚姻期間中の2人の厚生年金を分割することになって、給料が多い方が相手に分割することになります。

性別については、関係なしで、例えば、妻の方が高収入だったとしたら「妻の年金の一部」が夫に分けられるという事です。
 

妻に分割されるのは多くても数万円?

 
こんなふうに、夫の年金の半分をもらえると思い違いしている人が多いことになりますが、はっきり言って、望んでいるくらいの額にはなりません。

仮に、婚姻期間が25年、その間の平均標準報酬月額が36万円であった場合だと、婚姻期間分の厚生年金については年間76万9500円になります。

分割で、妻がもらえる年金というのは、年額約38万円、月額3万円強になります。

妻自身の年金(国民年金)が約5万円においては、年金収入については8万円くらいで、老後の生活費的にはすごく不安というわけです。

妻自身の資産や、財産分与があっても、長く生きれば生きるほど不安が増していくという金額になります。

夫からしても、老後資金の土台である年金が数万円へるというのは、ダメージが大きく、夫婦共々「離婚貧乏」まっしぐら、ということが実際のところなのです。

一般的にいって離婚をすると、婚姻期間が30年超だったとしても、妻の年金額は自分自身の国民年金(基礎年金)の5万円と合計して、月10万円くらいになる事が多いです。

前述のケースになると、離婚においての、年金分割で妻がもらえるのは月額3万円強であったが、仮に夫が息を引きとるまで形式的でも添い遂げたら、遺族厚生年金を得る事ができるのです。

標準報酬月額38万円、38年間会社員であった場合、離婚しないとすれば、全加入期間が対象となるというような理由から、もらう額についてはガクンと増えます。

年金は、年額約93万円(月額8万円弱)だということです。

離婚した場合と、添い遂げた場合では、15年で約825万円(=55万円の差の15年分)というギャップが生じるというわけです。

「夫が息を引きとるのを待てよ」というわけではないです。

年金分割は良い制度だと思いますが、妻からしたら(夫からしても)それほど有利とは言えず、現実的に考えてみれば、「離婚は損が大きい」という事を、とにかく意識してください。
 

そうであっても離婚したいのなら、分割額は要チェック!

 
そうであっても「どうしても1秒でも速やかに離婚したい」とされる人については、あなた自身のタイミングで、年金分割実質的に、どれくらいの金額になるのかをチェックしてみよう。

夫婦であるならば、夫の許可がないとしても、年金事務所分割の額を教えて貰えます。

離婚したい妻については、実際の金額を把握することから将来に向けた指針になると考えられます。

「月々の生活費がどれくらい賄う事が出来るのか」

「年金に加えてどれだけあったならば、生活していけるのか」をきっちりと計算してみてください。

これからは、夫、妻、それぞれ理解しておいてほしい事を紹介したいと思います。

それでは、夫とされる男性が理解しておいてほしい事について。

妻が3号(専業主婦)の場合では、夫の合意がないとしても、強制的に当てはまる期間の厚生年金が50%もっていかれることになります。

「専業主婦=内助の功がある」とされる前提でそのようになっていますが、長い期間、別居しており、生活費を貰っている場合でも、法的に婚姻関係が継続されているのであれば、分割されるのです。

ですが、住民票が同一であることが求められます。

分割するというのは婚姻期間中の記録分とされていて、修復の見込みがないとするなら、速やかに離婚した方が良いですし、離婚危機に感づいたら、妻に働くという事を勧めるというのが得策になります。

妻が3号でないとすれば、分割においては、両者ともの合意が求められ、話し合いに持ち込む事ができるのです。
 

離婚後、夫が死亡しても分割された年金はもらえる。

 
夫から年金分割をもらえる妻にお伝えしたい事は、離婚後、夫が死亡したらどうなってしまうか?、です。

年金受給開始前に離婚して、年金分割をしたとしたら、夫が死亡したとしても、プランどおり、分割された分の年金をもらう事ができるのです。(夫がもらう予定だった年金については、遺族年金ということで、死亡時の遺族がもらう。)

これによって、年金分割をしていたなら、夫の生死から妻の年金額が変わってしまう心配というのはないです。

それ以降、妻(専業主婦)が死亡したとします。

妻の遺族については、その分を遺族年金ということでもらう事ができるのです。

それに関しては、妻と再婚した夫においても権利があるということになります。

本人に厚生年金が無い場合となると(自営業者だったなど)、遺族年金がもらえます。

例えば、独身である自営業の男性が、不倫の果てに、夫から年金分割されているバツイチ女性と再婚したとします。

再婚後にその妻が死亡したというようなケース、意外にも、その夫は彼女の遺族年金をもらうことができるのです。

仮に、年金分割を視野に離婚を考えているとしたら、こういう事をきちんと一考のうえ、計画的に判断することが大切です。

年金分割については、離婚する妻からすれば、老後の支えになる制度なのですが、年金分割のみで、悠々自適な老後生活を描ける人というのは、少ないというような現実も忘れずにいておいた方が良いでしょう。