みなさんには、孫がいらっしゃいますか?
ビックリすると思いますが、孫がきっかけとなって、老後危機を引き起こすこともあり得ます。
詳細に見ていきたいと思います。
老後資金が足りない・・・
「3000万円あったとしたら、老後については、心配いりませんとよく言うじゃありませんか・・・にもかかわらず・・・」
元会社員で67歳のTさんは、しょんぼりして言いました。
大丈夫だろうと考えていた老後資金が、これから先、足りない事が分かったのです。
Tさんは65歳の奥さんと二人暮らしなのです。
60歳で定年退職して、2100万円くらいの退職金を貰ったのです。
親からの遺産相続と手持ち資金で3600万円の貯蓄もあったので、60歳で約5700万円の老後資金があったのです。
年金の受給がスタートする65歳に達するまでの、5年間というのは、再雇用で勤めつつの生活になります。
貯蓄については600万円くらい使ってしまったようですが、そうであっても5100万円は残されていました。
孫への贈与よって老後資金が足りない。
65歳となって、年金を受給を開始すると、貯蓄によって、取り崩す生活費の額は少なくなりました。
現役時代の生活水準を落とす事が出来ず、月々の生活費35万円の蓄えを切り崩していたのですが、この内、25万円については、年金でカバーできるからです。
蓄えが目減りするペースがゆるやかになったので、老後生活については、余裕だと感じました。
そんな時、息子の方から、このようなことを言われました。
「教育に必要な費用の贈与税というのが、非課税になるそう。お金が余裕があるなら、僕のところに贈与をして欲しいだけど・・。」
30歳に至るまでの、子どももしくは孫に対して、1人につき、1500万円に達するまでの教育資金を非課税で贈与することができる制度が出来たことがあって、おねだりされたのです。
息子に関しては結婚して、自宅近辺に住んでいます。
孫については、小学生3人で、息子夫婦は子どもらを、中高一貫校に進学させたいと思っており、アクティブに塾に通わせており、塾代の家計が困難だと訴えたのです。
Tさん夫婦については、「今までにもちょくちょく援助していた事がありますので、細々と援助するよりも、ひとまとめにして、お金を贈与してやりくりして貰う方がいいのではないか」と思ったのです。
という事から、この非課税制度を活用することを決めたのです。
贈与額については孫1人付き700万円、小学生3人ということから、合計2100万円を贈与したのです。
それだけ贈与したとしても、懐には、世間でよく言われている「老後に欠かせない資金と言われている3000万円」が残るのです。
そんな理由から、問題ないと考えていました。
ですが、2年くらい過ぎた今年の春のことになります。
貯蓄は2700万円に減っていたのです。
2年で300万円くらい減っており、Tさんは不安感を覚えたのです。
この状況では、自分たち夫婦が生きている真っ最中に貯蓄が消えてしまうと感じたのです。
あたふたして、「贈与してしまったお金を返してもらいたい」と考えても、容易ではありません。
教育資金贈与というのは、贈与したサイドがお金を払戻したり、解約することは不可能です。
いったん、贈与したお金を返して貰おうとしたら、むしろTさんに贈与税が課されることになってしまいます。
今のテンポでお金を使っていると、18年そこそこしか貯蓄は持たないのです。
Tさんは年金受給額が25万円だというのに、生活費というのは35万円となっていました。
月々10万円、預貯金を食いつぶすことから、1年間で少なくても120万円使うことになります。
それと旅行といった雑費を含めると、トータルして150万円くらい使ってしまうことになってしまいます。
現状のままだと、2700万円というのは、生活費のみにしかならず、病気であるとか、事故、旅行、これ以外の不測の支払いなんかにはどうしようもないということになってしまいます。
年金受給額がそこそこたくさんあるので、そのような中で暮らしていく事が、理想になってくるのです。
ですが、医療費は削れず、1回身についた、ライフスタイルを必要以上に、変える事は極めて難しかったことから、いの一番に可能なところから削減したのです。
現在に至るまで、宅配弁当といった頻度がほとんどだった食事については、自炊に変えて、2万2000円を削減することが出来ました。
水道光熱費においても、5000円の削減可能です。
通信費については、固定電話をやめてしまい、格安スマホを夫婦揃って所有することによって、1万4000円削減しすることが出来ました。
交通費については、タクシーを使うペースを軽減させ、交際費、娯楽費も優先順位を考えに含めることにした結果として、各5000円~8000円削減することが出来たのです。
嗜好品や理美容についても見直すことで、合計、6万3000円の削減することが出来たのです。
これ以上に抑制した老後生活を送っている方も多いですが、Tさん夫婦にとっては努力したというわけです。
それから、息子夫婦から毎月5万円のサポートを得ることになったのです。
2100万円という贈与をしたことが原因で、生活が行き詰まりそうな親を気にかけ、ちょっとでも貰った分を返す事ができるのならと考えた息子からの申し出になります。
これをありがたく受けることによって、Tさん夫婦は預貯金を切り崩す必要もなく、暮らしていくことが出来るようになったのです。
「老後資金というのは3000万円でよい」というのは、原則的に一例でありますので、どんな人でも合致するものにはなりません。
ぜいたくな暮らしをしたいと願うなら、別なプランがなくてはなりません。
将来において、発生し得る介護や病気によってのお金、住宅のリフォーム費用というものを意識すれば、3000万円を深く考えることもなく、使っている状況ではないかと思われます。
もっと言うなら、うま味がある制度があると分かったとしても、ためらうことなく飛びつかずに、細心の注意を払ってあなた自身の暮らしを直視し、ほんとに活用した方がいいのかどうかを思案しましょう。
なにより、あなた自身が老後をきちんと暮らしていけるのかについて考えた方がいいでしょう。