2019年4月に「ブラックホールの撮影が実現した!」とされるニュースは世界を驚かせ、今になっても記憶に新しく感じられますよね!
世界規模で宇宙研究が積極的に進められて、次々に宇宙の謎が解き明かされています。
ですがブラックホールにおいては、最近でもいろいろな謎が隠されているのです。
その一つが、「ブラックホールの情報パラドックス」というものになります。
これというのは、多数存在するブラックホールの謎のなかでも、物理学者が壁にぶち当たる難問の一つとなります。
本日はそういう、ブラックホールの情報パラドックスを紹介したいと思います。
ブラックホールとは
ファーストステップとしてブラックホールというのは、どのような天体なのか、少し再確認しておきましょう。
約100年程前に、アインシュタインが一般相対性理論に基づいて「存在するにちがいない」と予言していたというのがブラックホールになります。
本来は恒星であった重力の大きな天体が、超新星爆発を引き起こすことによって誕生するのです。
ブラックホールの真ん中については、重力や密度が無限大とされるそうです。
これに伴い、ブラックホールは近づくものを何もかも吸い込んでしまって、一度吸い込まれたら終わりで、光も脱出できないとされています。
ブラックホールの情報パラドックスとは?
それでは、ブラックホールの情報パラドックスというのは、どういうものなんでしょうか?
この世界における全てのものについては、情報にて形作られているのです。
例として炭素原子の集まりというのは、配置が違う部分によって、ダイヤモンドになるか黒鉛になるかが決定されるのです。
この配置の方法が「情報」というものです。
この情報さえあったとしたら、物質がどれだけ姿を変えても、元通りにする事ができるといわれています。
それでは、ブラックホールに飲み込まれたものは、どんなふうになるのか、気になってしまいますよね?
ブラックホールの内部を確認した人は誰もいないことから、基本的に予想になるのですが、ブラックホールに吸い込まれた物質というのは、素粒子レベルにまで木端微塵になってしまうと言われていて、情報においてさえ破壊されてしまって、元通りにする事ができなくなると考えられるのです。
似通った主張を物理学者のホーキング氏も唱えているのです。
ですが物理の法則では、「情報が消えることはない」と考えられていて、この主張については、この法則に矛盾しています。
これこそがブラックホールの情報パラドックスと言われるものです。
情報パラドックスは二次元に変換される?
この情報パラドックスを解消しようと、物理学者たちについては、色々な説を考え出しているのです。
その一つが「ホログラフィック原理」と言い表されるものとなります。
この原理においては、ブラックホールの事象の地平面に、ブラックホールに吸い込まれた情報がメモリーされていて、その情報を投影したホログラフィーと変わらないものが宇宙の姿であるというのです。
そしてブラックホールに情報が吸い込まれることから、情報については、更に、二次元に戻ると考えられているそうです。
私たちの周囲にあるものも実のところホログラフィーがあるみたいに、二次元のものが三次元に感じられているだけなのかもしれないということなのです。
SFの世界のみたいな話なのですが、この説によって、情報パラドックスだけにとどまらず、物理学に色々な矛盾をもたらす「重力」の問題も解決するのだそうです。
天才科学者ホーキング氏の論文
「ブラックホールに吸い込まれた情報は消失してしまう。」・・と論じていた天才科学者ホーキング氏ではありますが、2015年の論文で新しい説を唱えていたのです。
まさにそれが「事象の地平面にブラックホールに吸い込まれた情報が残り、ブラックホールの寿命が尽きた際に宇宙に戻ることを可能にする」といった説になります。
この説だと、光も再度、外に出ることができるそうです。
更にはこのブラックホール内の情報というのは、これまで存在していた世界とは違うパラレルワールドに放たれると考えられます。
ブラックホールは別宇宙への扉
宇宙論の中の一つに「多元宇宙論」というような考え方が存在します。
これというのは、宇宙は私達が存在する宇宙だけに限らず、たくさんあるとされる考え方となります。
この見解では、たびたび、ブラックホールというのは他の宇宙と結びついているかも知れない?と言われるようなことがあります。
このブラックホールと異なる宇宙を結びつけるルートを「ワームホール」と言い、ワームホールの先には・・ブラックホールが吸い込んだ物質を放つ「ホワイトホール」と称されるものが存在していると考える専門家もいるとのことです。
この説なら、吸い込まれた情報は、このホワイトホールから吐き出されているのではないか?と想定されるそうです。
現段階ではホワイトホールは見つけ出されてはおらず、存在する可能性は低いとのことですが、「絶対に存在しない」とされるだけの根拠もないと考えられます。
謎がたくさんある天体「ブラックホール」。
その謎を解決することを目論んだ説もまた、謎ばかりで認識が難しいものしかありません。
ですが、こういった説が事実だとしたら、SFの中だけだとされていた出来事が、宇宙において、現実の上で起きているかも知れません。
どういうわけか、怖いかのようなハラハラするというような、ミステリアスな思いにさせられてしまいますね。