地球と一緒の太陽系の惑星とされる「水星」。
水星については、太陽から近いことで、研究が進んでなくて、そのわかりやすい環境というのは一般的に言うと、それほど知られていません。
本日は水星の環境や、驚異の逆行現象、惑星調査の現状を紹介したいと思います。
水星とは
水星というのは、地球と一緒の太陽系に位置して、岩石だけじゃなく金属等によって構成される「地球型惑星」とされるものです。
地表においては、たくさんのクレーターが、あるので、月にすごく似たような形をしているのです。
太陽系惑星において、一番太陽に近いことが要因で、調査がそんなに進んでなくて、現在も、はっきりしていない点の多い惑星となります。
水星の大きさ
水星とは、太陽系で一番小さい惑星で、その直径は4,879㎞くらいしかないです。
これというのは、地球の直径の4割にも達しない大きさとなります。
また、木星や土星の月(衛星)とされるガニメデやタイタンと比べても、より小さいということです。
水星の位置と距離
水星というのは、太陽から言えば、1番目の軌道を公転していて、太陽系の中におきまして、一番太陽に近い惑星となります。
さらに、地球に比べると、ふたつ内側にある公転軌道に位置しているのです。
水星と地球の距離については、ふたつが一番接近する時点で9150万㎞離れています。
これというのは、光の速さで305秒でたどり着ける距離となります。
そして、1973年に、水星探査機マリナー10号発射された際は、146日で水星にたどり着いているのです。
余談ですが、太陽から水星に至る迄の距離というのは、概算で5791万㎞とのことです。
地球との距離と比べますと、ずっと太陽に近いことになります。
水星の観測
水星については、太陽との距離が近いことから、日の出と日の入りの少しの時間のみしか、観測するということが出来ないことになっています。
さらに、水星が、地球と太陽の、ちょうど間にある、天文現象を「水星の太陽面通過」と言って、平均的には7年に一度だけしか観測するということが不可能ですが、100年に43秒ずつ違ってきている事が、分かっています。
これというのは、水星が太陽に近すぎるので、太陽の異常な重力が原因となって、時空が歪んでしまったせいだと考えられています。
アインシュタインの、一般相対性理論で算出したのですが、計算値と観測の違いが合致しました。
水星の重力
水星の重力については、3.7m/s²と地球の約38%程度となります。
これによって、水星に人間が降りたと仮定すると、その人は地球での3倍以上のジャンプをする事ができます。
さらに、地球では、持ちあげることができない重い物も、いとも簡単に持ち上げる事が、できるというわけです。
ですが、太陽から近い水星というのは、灼熱の星というわけなので人間が地表に降りる事は困難なことです。
水星の一日と一年の長さ
水星の一日と、一年の長さというのは奇妙な関係を持っています。
水星の自転周期については58日なので、水星の一日に関しては58日となります。
ですが、水星は地球と全然違う軌道を周回しているので、自転が一周したとしても、地表から見た時に太陽が一周しないのです。
地球と同じく太陽が正午線にのぼって、ふたたび一周してくるまでの期間を一日だとするならば、水星の一日に関しては、175日ということになります。
一方で、水星の一年(公転周期)については87日のために、一日が一年の2倍とされる奇妙なことになります。
水星の逆行
水星地表がある場所からでは、太陽の逆行を観測することが出来るのです。
水星でいう太陽の逆行というのは、日の出途中の太陽が見られる地点で時間が巻き戻されたかのように再度沈みだす現象です。
しばらくすると、太陽は何事もなかったかのごとく、再度のぼっていくのです。
なぜかと言うと、ある地点で水星の公転速度と自転速度とが、等しくなるので、太陽の動きが停止して見えることにより発生する現象です。
一年と一日の関係にしろ太陽の逆行にしろ、水星の環境については、地球だと驚くようなことばかりですね。
水星の温度
水星は太陽にかなり近いことから、地球の7倍とされる光と熱エネルギーを受けているのです。
それにより、昼の水星の表面温度というのは、430℃に到達する事が分かっています。
ですが、温室効果の高い、二酸化炭素の大気を有しないことにより、ひとつ外側の金星と比べて温度は低く、一番太陽の近くを周回する惑星であるのに一番地表温度の高い惑星ではありません。
水星の水と氷
金星には、及ばないまでも、400℃以上の灼熱の星だという水星に、なんと氷がある事が分かっています。
水星のクレーターの中においては、太陽光の当たらない影になってしまう所があって、この地域であれば、地表温度が-172℃以下をキープしているそうです。
1992年にカリフォルニア州のモハーヴェ砂漠に位置しているゴールドストーン深宇宙通信施設が、水星から氷と思われる反応を観測しています。
研究者はこの反応を水で、出来上がった氷だという可能性が一番高いとされていて、灼熱の星だと言われていた水星に氷がある事が判明しました。
水星の大気
水星においては水素、ヘリウムを主成分としナトリウムや酸素をちょっとだけ含む薄い大気があります。
ですが、水星は重力が弱いことから、このような大気についてはストップすることなく宇宙空間に放出され続けているのです。
この大気は、太陽から吹き荒れる太陽風に伴って、水星の地表面が崩壊して起きる事が分かっています。
また、太陽風と岩石の成分が反応したり、水星の氷が昇華して発生しています。
水星の大気については、供給と放出を繰り返していることから、成分が一定するということがないといえるでしょう。
水星の磁場と磁気圏
水星については、地球の1.1%に匹敵する磁気圏がある事が分かっています。
これというのは、自転速度が比較的に遅い水星ではありますが、強力で、太陽風を防ぐために理想的な強さを持っている事が分かっています。
また、磁場も一過性のわけではなく、安定している事がはっきりしています。
ですが、水星の磁場は漏れ出しやすい性質があって、2008年には水星の惑星磁場から800㎞の長さの竜巻がかった、磁気の束が観測されているのです。
この現象は、太陽風に伴って発生していて、結果的に、磁場の壁に穴となってしまって、水星表面に太陽風が流れ込む要因となっています。
水星探査の難しさ
水星については他の惑星に比べると、太陽の近くを周回するので、探査機がたどり着くことに必要な技術的難易度がすごく高まります。
しかも、到達できても、大気が薄いことから、空力ブレーキを使う事が出来ません。
到達の難易度の高さと着陸の難しさが水星探索が進展していない理由になります。
水星探索の歴史
探索の難易度が高いとは言え、人類は今までに、2度水星に向けての接近観測を成功させているのです。
1973年、水星と金星の大気と地表の調査という目的で、「マリナー10号」がケネディ宇宙センターから地球を飛び立ちました。
それ以後、マリナー10号は金星の重力を使って加速をして水星へ接近します。
この時点で、マリナー10号は水星表面の45%の撮影に成功して、水星が地球と似たような磁場があるとされるデータも観測したのです。
この任務のあいだに、マリナー10号は2度水星に及ぶ接近に成功したのですが、軌道の諸事情があって、どちらも同じ惑星側面への接近になったため、水星表面の残り、55%を撮影することはできませんでした。
2004年、NASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機「メッセンジャー」が2度目の水星探索にむけて、地球を飛び立ちました。
メッセンジャーは地球、金星、水星の公転運動を経由して加速をして、約6年半、費やして水星に接近したのです。
メッセンジャーは水星表面の約95%の撮影に成功して、色々なデータを収集する事に成功したのですが、2015年には水星表面に墜落して、その役目を終了しました。
またもや、2018年にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)とESA(欧州宇宙機関)の共同プロジェクトだという「ベピ・コロンボ」が水星探索のため、打ち上げられたのです。
これは、MMO(水星磁気圏探査機)とMPO(水星表面探査機)の2機を水星軌道上に投入して、一年かけて水星を調べようという計画です。
依然として、謎の多い水星だと言えますが、このベピ・コロンボによって、新しい発見がされるかもしれないと、今から注目が集まっているのです。