みなさんは、現在、暮らしているこの世界というのは、「何次元」なのかご存知ですか?
幅、高さ、奥行きが存在する3次元空間、と思う人が多いだろうと思いますが、物理学の世界においては、更に「時間」を加えると「4次元空間」だという認識が定義されています。
ですが、最先端の「理論物理学」と言われている計算や考察からこの世界の物理法則を解き明かそうと試みる学問においては、驚いてしまいますが、この世界というのはなんと「11次元」であって、私たちは基本的にそれらの4次元を認識しているだけ、とされる理論があります。
その理論の名前というのは「超ひも理論」と言います。あるいは同じ意味となるのですが「超弦理論」とも言われます、現在の研究対象としてはすごく「注目されている」理論だと言えます。
「ひもって果して、何だろうか?」「超というのはどういった意味?」
そういう数多くある疑問に、ここでは段階的に回答させて頂きます。
「ひも理論」の誕生。
「超ひも理論」と聞かされた際、「かつて『ひも理論』といったものもあったのでは?」と思われる人もかなりいるかも知れません。
それはもちろんあります!この話をするには、量子力学とされる分野の物理学の話を少ししていくことが重要になります。
量子力学というのは、私たちのよく知っている物質を構成する「分子」や「原子」といった最小の単位だと思われていたことが、正確に言うと、より一層小さな「素粒子」という存在から構成されているのであるという事が明確になった事、さらにその素粒子といった存在が、粒子=物体としてだけでなくそれが一つしかなかっても「波動」としての性質も持つことから「粒子と波動の二重性」とされる両方の性質を持つそれらを「量子」と称して、その性質を研究することから、より一層「量子」により構成された私達の世界、宇宙の歴史にまで解き明かそうとする物理学の分野です。
さて、この「素粒子」と言われるものですが、現在主流とされている理論も併せて、基本として大きさを持たないもの、あるいはかなり小さなものであると考えられています。
その上で、素粒子においては、発見されていないものも併せて性質の異なっているたくさんの種類があるのだそうです。
ですが、「ひも理論」では、これらの素粒子がトータル「同じもので出来ている」と考えられます。
その同じものそれこそが、非常に小さく短い「ひも」なのです。
「ひも理論」では、同じひもがどういうふうに揺れているのか、言ってみれば、どんなふうな「波」を作るかによりそれぞれの量子の性質というのが決まるというふうに考えているのです。
本来は、ひも理論については「ハドロン」だという複合粒子、要するに幾つかの素粒子が結び付いたものの1種に関し、その「ハドロンを構成する粒子を単体で取り出すことができない」という性質を説明するのに考案された理論でした。
すなわち、ハドロンというのは「ひも」であって、ハドロンを構成する粒子は「ひもの両端」に当たるというように考えるため、「もしひもを切ったとしても、それに関しては『新たなひもの両端』が生まれるにすぎない」というような説明を考え出したのです。
ですが、この「ハドロンのひも理論」と言われた理論は成り立つというのが、26次元空間に限定される等、多くの矛盾を有し、また新たにハドロンの性質に関しては新たに提唱された「量子色力学」の方が優勢になったという事から下火になったのです。
「ハドロンを構成する粒子を引き離すと別に新たな粒子が生まれ、引き離した粒子と新たに合わさるため2つのハドロンになる」というような量子色力学の理論というのは、ハドロンについての性質をひも理論よりずっとナチュラルに説明する事が出来たのです。
このことから、大方忘れ去られた理論になってしまったひも理論というのは、かなり細々とではあるのですが研究され続けていたのです。
超ひも理論への道のり。
ひも理論の研究が持続できていた一番の理由とは、この理論がハドロンだけに限らず、言える可能性があったからだといえます。
他の何よりも「閉じたひも」言わば、輪ゴムっぽい形状の切れ目なく、輪のようになったひもによっては、「重力」明確には重力を伝える量子となって考えられている「重力子」について説明できるらしい事は物理学的な「すべての力」をパーフェクトに1つの理論にひとまとめにする「万物の理論」へと関連付けられる可能性を持ち合わせていました。
かと言って、万物の理論だとしても当時はひも理論というのは全く別の有力な仮説があって、ひも理論というのは、どちらにせよ「古い研究」だと普通に考えて物理学界では考えられていました。
ですが、そこにもう一つの粒子力学の仮設が加わったことにより、ひも理論については新たなる進化を遂げ「超ひも理論」となって最新物理学の表舞台に踊り出ることになったのです。
2回の「ストリング革命」
「ひも理論」が「超ひも理論」へと向上し、更に「万物の論理」の有力な候補のひとつになってしまうには2つの大きな「ストリング革命」と言われている研究の転換点があったのです。
まず一つが、最初のひも理論よりもちょっと前の1966年に発表した「超対称性理論」をひも理論の考え方に採用することにより矛盾を伴わない理論を1つ導くというのに成功したこととなります。
素粒子や複合粒子というのは、その性質から「フェルミ粒子」と「ボース粒子」に区別されますが、「素粒子の個別に、フェルミ粒子ならボース粒子、ボース粒子ならフェルミ粒子の対となる相棒を有している」といった仮説が「超対称性理論」であって、超ひも理論の「超」というのはこの理論なのです。
この超対称性理論と組み合わせることによって、超ひも理論が「10次元」の世界で成り立つという事、また現実に測定することの不可能な6次元分がすごく複雑で、もの凄く小さな形に折り畳まれているとしたら、何より計算をしていく上で矛盾のない理論が出来上がるとされる研究成果が1984年に発表されたのです。
このことから「ひも理論」は10年の時を経て「超ひも理論」に進化を遂げ再び注目を集めることとなったのです。
実質的にはその6次元を現実に観測できる手段がない等、この理論に関しては色々な問題を持ってはいるのですが、超ひも理論の研究をする物理学者も増えたため、最初に発表されたものとは違う「超ひも理論」も考えられ、最終的に5つの超ひも理論が提案される事となったのです。
そのうえで、1995年、「第二次ストリング革命」では5つの超ひも理論が「11次元」の世界で統一可能だと明らかになったのです。
この統一された超ひも理論というのは「M理論」と言われ、素粒子の形状を「ひも」から更に発展させて、二次元の広がりがある「膜」であると解釈することになりました。
そうして更に「Dブレーン」というような概念が考案されたことによって、現代の「万物の理論」の最先端研究が形になったというわけです。
超ひも理論で世界は見える。
Dブレーンというのは、元を正せば、粒子の「ひも」の先端が結びついているとされる「面」と考えられていたのです。
「閉じたひも」、すなわち、重力子とは異なる「開いたひも」というのは、それぞれ特定のDブレーンに端が結びついていると想定し、「閉じたひも」だという重力子についてはDブレーンにとらわれず他の次元へも重力を伝えられると考えたのです。
現代においては、更に「ブレーンワールド宇宙論」というような私たちの宇宙も巨大なDブレーンだという仮説も出ています。
この宇宙については、超ひも理論で言えば、11次元から時間軸を除く10次元がある中より、3つの次元にまたがって広がっているDブレーンなので「私たちの宇宙は3次元+時間のみしか認識できない」ということになります。
これに伴い、超ひも理論というのは私たちの宇宙の「万物の理論」になってしまうにとどまらず、更に「宇宙より大きな空間」がある可能性さえも含んだ果てしない理論となっているのです。
ですが残念なことに、超ひも理論が「正解」だという証拠は全然見つけ出されていないというのが現状です。
それにより、超ひも理論が本当か見極めるために最先端の技術を使った高エネルギー実験等される一方、「ただ単に偶然矛盾がでない理論が出来上がっただけ」と認識しこれ以外の方法においての「万物の理論」探しもされているわけです。
ですがいずれにしても、「全てはひもから出来ている」というようなすごく不思議な「超ひも理論」が出現したことから、「世界のかたち」を認識しようというような試みについては今、すごく情熱をもって研究されていると思われます!
もしかしたら、将来、宇宙の全容や仕組みが解き明かされるかもしれないですね!