70歳で辞めると、これまでの5年間に支払った保険料分が年金額に加算されることになります。
70歳を過ぎてしまっても、厚生年金に加入することができるように国が検討を始めています。
言うまでもなく現状、70歳まで加入することができる事そのもの知識がなかった人もいることと思います。
年金や医療等の社会保険は保険料を支出したり、給付を受けたりする年齢が予め定められています。
将来に向けた働き方や資金計画を考慮する上で、年齢上限を知ることが重要になります。
「厚生年金の保険料はいつまで払うのだろうかというような質問を近ごろ、働くシニアから受けます」。と社会保険労務士のT氏は語りました。
公的年金は老後資金の柱である制度だというのに加入期間、要するに保険料を払う年齢上限においてきちんと認識する人はあまり多くないのだそうです。
長く払ったら受給が増える。
現行制度だと、会社に勤めて一定である収入のある等の基準を満たすと厚生年金に加入して、会社との折半で保険料を支払うことになるのです。
60歳で定年退職した以降に、再び働く際も一緒で、保険料を長く支払えば、将来受けることができる年金額が増加して、老後生活の支えになっていくのです。
厚生年金の上限は今までは「65歳になるまで」でありました。
制度改正によって2002年度以降は「70歳になるまで」に長くなっているというわけです。(A)
更に近々、政府は70歳以降への延長を議論してシニア就労を後を押す方向だと思われます。
高齢者の就業率は60~64歳で69%、65~69歳は47%、70~74歳も30%に達しています。
シニアで働く場合、保険料はいつまで払い、何歳から年金を受け取るつもりなのかイメージを押さえておいた方がいいですね。(図B)
なにより、何歳まで働くかに限らず年金をもらい始めるのは基本的に65歳からなのです。
年金額はこれまでに支払った保険料を基にして算出されます。
ですが、厚生年金の内で基礎年金であるのは60歳のタイミングで期間が終わる仕組みのために、これまでと同じように働いていようとも年金額の増え方は緩やかになってしまいます。
65歳が過ぎた後もより一層、働く場合には保険料を払いながらも、同時進行で年金も受け取る事になるのです。
こんな状況でも年金額計算のシステムに意識を向けたいですね。
例をあげると、図Bの下段のように70歳に達するまで働くとします。
このような場合は、なにより65歳から年金をもらい始め、同じ年金額がしばし続きます。
増額は原則的に退職した後に反映される。
更には、70歳で退職すると、そこまでの5年間に支払った保険料分が年金額に加算されることになります。
長い間勤めたおかけで、70歳過ぎてからの生活資金に余裕ができます。
まれに「保険料を支払っているわけだから年金額も65歳から増えるはずだ!」と誤解する人もいるのですが、増額は基本的に退職した後で反映されるという事を確認しておいてください。
専業主婦等シニアで、働く人の配偶者が認識しておきたい大事な点もあります。
一般的に考えて、夫が厚生年金の加入者だと妻は「第3号被保険者」になって、原則60歳に達するまで保険料負担がない状態で基礎年金を65歳から貰えます。
ですが、妻が年下で夫より5歳程度、若いといった場合は保険料の面で注意点があるのです。
年金制度においては「夫が65歳に至った時点」で妻は第3号被保険者でなくなるのです。
具体的に言うと、妻が58歳の時に夫が65歳になると、妻は第3号から第1号被保険者に種別が変わることになります。
そうなれば新たな形で「自分の国民年金保険料を納める必要がある」ということなのです。
この例だったら、60歳になるまでの2年間が対象になります。
その期間に保険料を支払わなければ、その分だけ、年金は少なくなってしまいます。
健保は「75歳」まで
高齢にもかかわらず働こうというような人は、疾病等に備えて医療・介護保険の知識も身に付けていたいですね。
シニアを含め一般に、厚生年金に加入すると勤務先の健康保険にも入ります。
大企業の場合は健保組合、中小企業については全国健康保険協会(協会けんぽ)になります。
保険料の半分を会社が負担してもらえるだけではなく、妻ら被扶養者は、保険料0で医療を受けることが出来ます。
健保については加入年齢の上限が「75歳になるまで」です。
厚生年金の上限よりも更に5年長く、シニア就労においては有利な面があるのです。
70歳以降も仕事をし続ければ、健保の加入は続く。
70歳で厚生年金の資格を喪失した後になっても更に、その会社で仕事をし続ける事ができるなら、健保の加入というのは続きます。
健保保険料は払い続けるが、長期にわたって健保の被保険者でいられれば、そのメリットも長期間受けることができます。
介護保険では40~64歳は第2号被保険者と呼ばれており、健康保険と一緒になって保険料を払うというわけです。
同じように働いていたとしても、65歳に達すると第1号に切り替わります。
介護保険料の算出方法は変わり、給料天引きとは違い、年金から引かれることになります。
繰り下げを選んで、年金をまだ受け取りをしていない人等は納付書によって自身で支払う手続きが必須となるのです。