ブラックホールとは、その重力から光だとしても吸い込んでしまう、宇宙でただ一つの天体となります。
ブラックホールは、質量の大きな恒星が爆発して崩壊する時、並外れた高密度となって周りの時空を歪める感じになってしまったものであると考えられる。
ブラックホールには「事象の地平面」が存在します。
これについては、これより先は回避不可能となる境界なのです。その境界を越えると最後、どんな物体も未知なる宿命を目指して急落していくしかありません。
長い間に及ぶ研究が継続しているにも関わらず、このバケモノみたいな天体はいまだ謎に包まれております。
更には現在でも尚、ブラックホールというのは科学者を驚嘆させているのです。
ブラックホールとはどういったものなのか?
私達が地球上二本足で立っていられるっていうのは、体の構造が重力に耐えることができるようにできているためです。
その根拠として、筋力が弱ってしまうと身体的なメカニズムが重力に持ち堪えられなくなってしまい、立つ事ができなくなります。
筋力が弱る代わるとして、重力が強くなったとしても、やっぱり、立つ事ができなくなります。
重力は質量に比例してしまう力ですので、質量が大きい星の上程、重力は強くなるのです。
重力がどんどん、強くなっていくと、肉や骨の構造も支えられなくなり、人間の身体自体がペシャリと押しつぶされて地面に張りついてしまうものです。
どんどんより一層、重力が強くなると、つまり質量が大きくなると、星そのものが自分の構造を支える事ができなくなり、中心に向かって潰れていってしまいます。
太陽というのは大方、水素ででき上がっているのですが、重力で潰れて水素と水素がくっついてヘリウムとなって、そのようなとき質量とされるものがエネルギーになって放射されるというのが、地球に降り注いでいる光と熱となるのです。
重力の力によってぎゅうぎゅう押し潰していきますと、元素同士が融合を繰り返す事で、ヘリウムから炭素が出来たり、炭素から酸素が出来たりしまして、次から次へと重い元素ができ上がっていくというわけです。
重い元素程、一体化するのに強い力が絶対必要ですので、その星の重力では一体化出来なければそこで、反応は終わりとなります。
逆に言えば、重力が強すぎると、要するに質量が大き過ぎると、反応はどこまで行っても止まらず、星の中心に向けて潰れていく事になります。
この現象を「重力崩壊」と呼ばれております。
このようにして極限まで潰れた星というのが、「ブラックホール」なのです。
太陽の30倍以上の質量のある星が燃え尽きるとブラックホールになると考えられています。
物理学ではブラックホールの中心には「ありとあらゆる物質が一点に集まって、密度と重力が無限大」の「特異点」が存在するとされています。
ブラックホールは光さえも出て来ない!
地球上で、カラダの力を使って垂直に精一杯、跳び上がったとしても、一瞬、宙に浮くだけのことで、すぐさま地上に着地してしまいます。
ですが、跳び上がる力を更に強く、わかりやすく言うと、跳び上がる速度を速くすれば、滞空時間はより一層長くなっていきます。
跳び上がる速度をより一層以前にも増して・・・速くしていけば、滞空時間は更に更に更に更に・・・長くなるという理屈です。
それから、ある速度を超える事で、もう落ちて来なくなってしまいます。
地球の重力を超越して、宇宙に飛び出すというわけです。
このような速度を『第二宇宙速度』または『脱出速度」と言われています。
地球上より宇宙に向けてのロケットを打ち上げるためには、脱出速度:秒速約11.2㎞(時速40,300㎞)に到達しなくてはいけません。
ロケットを打ち上げる星が地球でなくて、更に重力の強い星だとしたら、確実に、脱出速度は更に速くなってしまいます。
そしてブラックホールならば、脱出速度が光速を超えてしまうわけです。
ブラックホールの中心に接近する程、重力が強くなり、脱出速度が速くなるのですが、脱出速度がちょうど光速に達する半径を『シュヴァルツシルト半径』と言います。
また、この半径に形成される球面を『シュヴァルツシルト面』もしくは『事象の地平面』と言います。
相対性理論によると、この宇宙に光速より速いものは存在しませんから、事象の地平面を越えてブラックホールに接近したものは、もはや何があってもこっち側に出て来ることはありません。
ブラックホールの中へ入る!
分かりやすくすることを考えて『事象の地平面を越える』って記しましたが、現実に、ブラックホールから充分に距離のあるエリアから見ると、ブラックホールに向けて落ちて行ったものが、事象の地平面を超えるところを見ることは不可能です。
相対性理論においては、光の速度が絶対的で、時間や空間が伸び縮みするなんて事は知っているでしょうか?
ブラックホールみたいな並はずれて重力の強いエリアでは時空が歪んでいるということから、もう少し正確に言いますと重力というのは「時空の歪み」ということなので、事象の地平面に接近するにつれ、その物体の時間の進み方は遅くなる感じに見えます。
そして、事象の地平面で時間は完璧に停止したみたいに見えるので、物体が事象の地平面を越えた瞬間を見ることは不可能です。
すなわち、ブラックホールのアウトサイドから観測するものから見ると、ありとあらゆる物質は事象の地平面に引っついて重なったところで停止して見えることになるのです。
それでは、宇宙船に乗りブラックホールに入って行く人の観点では、どのような様子が見えるのでしょうか?
ブラックホールの重力=質量が小さいケースでは、いわゆるシュヴァルツシルト半径が小さい時、ブラックホールから近い方と遠い方の重力の差が大きいこともあって、その差の為に人間の体はバラバラになってしまうでしょう。
ですが、ブラックホールの質量が太陽の何百万倍も存在する時、重力の差はやり過ごせる程度ですので、体がバラバラになる事はなさそうです。
さて、それでは事象の地平面を越える際、その人は、遠くから見ている人みたいに、自分の時間が遅くなり停止したと思うのでしょうか?
答えはノーになります。
なぜかというと、遅くなる時間に伴ってその人の時計も進み方を遅くするためです。
遅くなる時間に同調して生理機能の進行が遅くなってしまうと、遅れは感じ取れないのです。
外から観測したみたいに事象の地平面でぺたんこになるわけではなく、その人は簡単に事象の地平面を通り抜ける事が出来るでしょう。
きっと「今、事象の地平面を越えた」ことだって感じられないと考えられます。
この様に、観測する立場により出来事が違って見えることは、相対性理論の特徴の一つです。
見えない天体『ブラックホール』
ブラックホールというのは吸い込むだけで、ブラックホールからは何一つ、出てこないと考えられておりました。
これはスティーンヴン・ホーキング氏が反対意見を提出しているのですが、難なく観測不可能な点においては同様です。
そういうわけで、1970年代までは、ブラックホールについては理論的な存在だけに過ぎませんでした。
ですが、観測技術の向上によって、ブラックホールそれ自体ではないですが、その周囲でもたらされている現象が観測されるようになったのです。
ブラックホールの強い重力は周りのものを吸い込みます。
するとブラックホールに物体が落ち込む時にエネルギーを放出することになります。
なので、ブラックホールの近くに他の天体やガスが影響を及ぼして、継続して物体が落ち込み続けているなら、そこから発するエネルギーを観測することが可能です。
このようにして、はくちょう座X-1といった星のすぐ近くにブラックホールが存在すると結論付けられたのです。
また、私達の天の川銀河の中心にはブラックホールが存在することだろうと言われています。
ブラックホールの最期は?
依然は、ブラックホールは、質量のある物体を吸い込むことばかりで、大きくなり続けるものであり、まさにそれが星の、それに宇宙に存在する物質の最後の形であるのではないかと思われていました。
ですが、ホーキング氏が反対意見を唱えているのです。
量子力学においては、真空というのは何もない空間とは違い、粒子と反粒子が対生成と対消滅を反復しているスポットであるといたします。
大ざっぱに解説すると、真空中においては、プラスの性質を持った粒子とマイナスの性質を持った反粒子が、2つ揃って生まれては、また合わさって消えている、というような理論となります。
ゼロからプラスとマイナスになっては消滅している感覚です。
対生成した粒子の一方のみが事象の地平面の内側に落ち込み、対消滅する相手を失った粒子がこちら側に残る事があって、マイナスの性質を持った粒子が落ち込む事で、ブラックホールの質量が減少していく、とホーキングは強調したのです。
そして、ブラックホールというのは最期には蒸発して消える、とのことです。
理論上は、現在ではまさにそれが主流ですなのですが、そういった現象が観測されたということではありません。
ブラックホールは蒸発する。
重力の強い星が自分を支えられずに、中心に向けて潰れたものがブラックホールとなります。
重力が強いことが要因で、ブラックホールの事象の地平面を越えたものは、光であっても、出て来る事が不可能です。
ブラックホールに落ちていくものをアウトサイドから見ると、事象の地平面で時間が止まったかのように見えることになりますが、ブラックホールに落ちていくものの視点で見ると、簡単に事象の地平面を通過したみたいに見えることになります。
ホーキングはブラックホール最期には蒸発する述べています。